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音響コラム01|吸音率とは?

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更新日2020-01-01CATEGORYand Smith コラム
音の世界の深い話
音響コラム01|吸音率とは?

私たちは日々の生活の中で、さまざまな「音」に囲まれています。

 

心地よい音楽もあれば、気になる騒音も…

 

これらの音を快適にコントロールするために、建材や音響設計の世界で重要な指標となるのが「吸音率」です。

 

吸音率とは一体どんなもので、どのように私たちの生活に関わっているのでしょうか?

 

 


 

1.吸音率とは何か?

 

吸音率とは、材料に入射した音のエネルギーに対し、その材料に吸収されて反射されなかった音のエネルギーの割合を示す数値です。

 

簡単に言えば、「その素材がどれだけ音を吸い込むか」を表しています。

 

吸音率は、0から1までの値をとります。

 

値が1に近いほど、その素材は音をよく吸収し、吸音性能が高いと言えます。

(入射した音のエネルギーをほぼ全て吸収)

 

逆に値が0に近いほど、音をほとんど吸収せず、よく反射する素材ということになります。

 

例えば、コンクリートやガラスのような硬い素材(密度が高い)の表面は吸音率が0に近い傾向にあります。

 

吸収された音のエネルギーは、材料内部で熱エネルギーなどに変換され、減衰します。

 

ただし、音が熱エネルギーに変わると言っても、そのエネルギーはわずかであるため音で部屋の温度が上がるようなことはありません。

 

スピーカーから100デシベルの大きな音を出しても、0.1ワット程度で、豆電球1個分にも満たない熱量だからです。

 

 

吸音率の音のエネルギーの流れ

 

音のエネルギーを材料に入射したとき、そのエネルギーは3つの成分に分かれます。

 

1.反射エネルギー:材料で跳ね返り、元の空間に戻る音

 

2.吸収エネルギー:材料の内部で熱などに変換され消費される音

 

3.透過エネルギー:材料を通り抜けて反対側の空間へ抜ける音

 

このとき、入射音のエネルギーを(I)、反射音のエネルギーを(R)、吸収されたエネルギーを(A)、透過音のエネルギーを(T)とした場合、吸音率(α)は以下の式で定義されます。

 

 

 

この定義から重要なポイントが見えてきました。

 

【吸音率が高い】反射音が少ない。(吸収または透過が多い)

 

 例:開口部(窓を開けた状態)で入射すると、反射はほぼなく、音の大分部が透過します。

   このため開口部は吸音率がほぼ1とみなされますが、遮音性能はゼロです。

 

 

【遮音性能が高い】音の透過が少ない

 

 遮音性能は「透過損失(TL)」で表され、透過エネルギーの少なさが指標となります。

 

 

 

つまり、「吸音率が高い = 遮音性能が高い、ではない」ということが分かります。

 

部屋の残響を抑える(部屋の中の響きを調整する)には、吸音率の高い材料が必要ですが、音漏れを防ぐ(隣室や外部への音の伝わりを減らす)には、遮音性能の高い材料が必要となるわけです。

 

 

 


 

2.吸音率の測定方法:残響室法と垂直入射法

 

 

吸音率は、音の入射角度や測定環境によって値が変わるため、主に2種類の測定方法があります。

 

 

【残響室法吸音率】

 

残響室法吸音率は、あらゆる方向からランダムに入射する音に対する吸音性能を測定します。

 

実際の部屋の音響状態に近い条件での総合的な吸音性能を知るのに適しています。

 

用途:ホールや会議室など、実際の建築空間の音響設計資料として利用されます

 

※イラスト画はイメージです

 

 

【垂直入射吸音率】

 

垂直入射吸音率とは、音響管を用いて音波が垂直に入射する条件で吸音性能を測定します。

 

垂直入射吸音率は小試料(Φ10㎝程度)でも測定できることが、測定上の利点です。

 

用途:材料単体の特性把握や、吸音材の開発段階で用いられます

 

 

※イラスト画はイメージです

 


 

 

3.吸音率が1.0を超える理由

 

 

「吸音率」の基本的な考え方と、なぜ1.0を超えるのか

 

吸音率(α)は、素材に入射した音のエネルギーが、その素材に吸収される割合を示す指標であるため、理論上は「0(完全反射)」から「1.0(完全吸収)」の間の数値しか取りません。

 

しかし、実際の測定方法によっては、この理論値である1.0を超えることがあります。

これは、素材自体の吸収能力ではなく、測定方法の特性によるものです。

 

 

面積効果(エッジ効果)

 

吸音率の測定方法は主に、「残響室法」と「垂直入射法」があることをお伝えしましたが、建材の吸音性能を評価するために最も一般的に用いられる「残響室法吸音率」の測定において、この現象が発生します。

 

残響室法吸音率は、あらゆる角度から音をランダムに測定試料に入射します。

すると、測定試料の周囲(端部)では、音のエネルギーが単に試料の表面に吸収されるだけではく、試料の側面に回り込んだり、試料と周囲の硬い壁との境界部分で音が複雑に散乱したりします。

 

この「端部(エッジ)での音の散逸や回り込み」によるエネルギーの損失が、吸音材の純粋な表面吸収効果に加算され計算されてしまいます。

 

その結果、見かけ上、試料面積あたりの吸音量が大きくなり、吸音率が計算上1.0を超える現象(面積効果またはエッジ効果)が発生するのです。

 

したがって、吸音率が1.0を超えたとしても、それはその素材が音のエネルギーを100%以上吸収しているという意味ではなく、測定方法の特性によって評価値が過大になっている、と理解されます。

 


 

 

まとめ

 

 

音響設計において「吸音率は材料がどれだけ音のエネルギーを吸収するかを示す値」であり、非常に重要な指標です。

 

快適な音響環境を実現するためには、高性能な吸音材を選ぶだけでなく、設置場所や量、そして対象となる周波数帯を考慮したバランスの取れた設計が求められます。単に音を消すだけでなく、目的にあった「良い響き」を作り出すことが、吸音率を理解し活用する究極の目標と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 


 

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