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音響コラム03|剛性と質量を考える
【質量?剛性?】
部屋(製品)を検討する上で、なんとなく経験則でこれがイイ、あれがイイと言った材料があると思います。
その材料の良し悪しを決めるのが、材料の質量と剛性です。
それぞれの定義は以下の通りです。
【質量】
サイズに関係なくもの自体が持っている不変の固有の重さ(動きづらさ)
質量の意味もまた簡単そうに見えて難しく感じてしまいますが、
単位は重量と同じ「g(グラム)」で表されますが、
普段の生活で使われている重量と意味が異なります。
普段の生活で使う「g (グラム)」は、
厳密に説明すると対象物に対して掛かる地球の重力の数値です
(つまり環境や気象によって可変する)。
【剛性】
モノの変形のしにくさ、しやすさ。
弾性率が用いられて、この数字が大きければ変形しずらい(≠強度)
言葉の認識を読者の方と一致させた上で、
【質量】と【剛性】が音場環境にどのように作用するか考えていきます。
結論から申し上げると、
1.質量が大きいと共振周波数が低い。
遮音性能が高まる(※音を通しにくい)。
2.剛性が高いと共振周波数が高い。
音の正体は空気とモノを伝わる振動です。
さらにその振動にも、
「空気伝播音」と「固体伝播音」
の2種類があります。
1.は通称「質量則」と言われ、この法則を軸に考えられます。
(ただしコインシデンス効果や固有振動(共振)といった例外を生む現象もあります)
遮音を考える場合、空気伝播音は壁構成の質量を上げていけば遮ることができますが、
固体伝播音は、壁の質量を上げるだけでは止めることができません。
先ほど結論で述べたように、質量が大きいと共振周波数が低いと言うことは、
質量の大きい壁は、共振周波数が低い周波数帯に存在するので、
俗に言うズンズン音を伝えてしまいます。
経験があると思いますが、クラブやスタジオ/カラオケの部屋の外にいると、
低音だけ廊下や周囲に音が漏れているのは、
遮音のために質量の大きい壁を作ることで
低周波数帯の音の対策(固体伝播音対策)が不十分で外に漏れてしまっているからです。
各種防振材を天井/床に採用する・二重壁を採用することで、対策することができます。
ここで大事なことは物理的に繋がっている部分を音響的に切り離す作業が必要不可欠になってくるワケです。
ただし、質量を重くすることを重点的に行ってしまうと、
重すぎて施工費用も比例して重くなってしまいます。
後に説明する剛性も含めてバランス良く考える必要があります。
2.の剛性にも「剛性則」があります。
剛性が高いほど共振周波数が高いということは、
低音域を伝えにくい(振動しにくい)と言うことになります。
前述の質量則で対策できない範囲を剛性則でカバーします。
剛性のある材料を用いる事で、遮音特性の悪化帯域をずらすことができるので、低音の音対策に有効です。
ただし鉄筋コンクリートのように、剛性を上げるために厚みを増やしたりすると、
質量則の関係も出てくるので厚ければ良いと言うワケではないものもあります。
逆に剛性が低いモノ(共振周波数が低い)を使って、
低音のエネルギーを敢えて受ける事で面を振動させて吸音する板振動方式の吸音材もあります。
以上のように、音場改善を考える時に重要になるのは、
①材料の質量【質量則】
②材料の剛性【剛性則】
③各材料の共振周波数【固有振動数】
この3つバランスよく検討する事で良い音環境を作れると言うお話でした。
1.質量則を設計の中心軸に2.剛性則と3.固有振動数を並行して検討することで、
費用対効果を最大化することができます。
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