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音響コラム05|Dr値 T値 L値ってなに?
静かな暮らしの鍵 日常生活と遮音性能の密接な関係性

私たちの日常は様々な音に囲まれています。
心地よい音楽や家族の笑い声がある一方で、時には「騒音」と感じる生活音に悩まされることもあります。
特に集合住宅などでの「音の問題」を解決する上で非常に重要なのが「遮音性能」です。
遮音性能とは?
遮音性能とは、文字通り音を遮ることです。
具体的には、壁や床、窓といった建物の構造物が、ある空間で発生した音をどれだけ減衰させ、隣接する空間へ伝わりにくくするかを示す性能のことです。
遮音性能を示す指標には主に3種類あります。
1.【Dr値】防音性能を数値で表す指標
室内外の音の強さの差を示す
2.【T値】サッシ・ドアの遮音性能を示す
3.【L値】床の衝撃音に対する遮音性能を示す
各値の違いや概要を理解することで、使用目的や環境に最適な遮音性能を選ぶことができます。
1.Dr値(遮音等級/sound pressure level Difference)【部屋全体としての防音・遮音性能】
Dr値とは、話し声や楽器の音など、空気中を伝わってくる音を、壁やドアがどのくらい遮断するかを示す数値のことです。
Dr値は数値が大きいほど遮音性能が高く、数値が小さいほど遮音性能は低いことを表します。
dB(デシベル)とDr値の関係性
dBとは、音の強さを表す単位です。
dBの数値が大きいほど音も大きく、数値が小さければ音も小さいということになります。
実は「Dr値」の数値は、そのまま「dB(デシベル)」をどれくらい防音できるかを表しています。
例えば、音楽室内で発生している音源の量が「100dB」とした場合、音楽室の外で聞こえる音量が「60dB」まで下がると、その音量差は「40dB」になります。
この場合の遮音性能は「Dr-40(D-40)」と表され、音楽室内の音が外では「40dB」聴こえなくなったということになります。
なお、「D値」と「Dr値」で迷われる方がいますが、同じ意味のことです。
2000年のJIS改訂により「D値」は廃止され、「Dr値」に改訂されました。
2.T値【建具の遮音性能】
T値(T等級)とは、サッシやドアなど、その建具がどの程度外部からの音を遮ることができるかを表す等級のことです。
T値は等級が大きいほど遮音性能が高くなります。
T値は、日本工業規格(JIS)に基づいて4つの等級に分類されます。
等級 | 遮音性能(dB) | 内部音(dB) | 遮音効果(dB) | 防音レベルの目安 |
T-1等級 | 25dB | 55dB | 25dB |
一般的な生活 |
T-2等級 | 30dB | 50dB | 30dB |
会議室・カラオケルーム |
T-3等級 | 35dB | 45dB | 35dB |
ピアノ教室・劇場・映画館 |
T-4等級 | 40dB | 40dB | 40dB |
レコーディングスタジオ・ラジオ放送スタジオ |
T値は統一規格なので、前もっておおよその基準を知っておくと、自分の用途に合ったものを選びやすいというメリットがあります。
騒音に悩まされている場合は、まずは窓やドアのT値をチェックし、適切な対策を講じること検討してみてください。
3.L値【床衝撃音】
L値(floor impact sound Level)は、床の遮音性能を示す指標で、
重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)に分類されます。
L値は数値が小さいほど遮音性能は高くなります。
Dr値やT値は「空気伝播音」のレベルを表していますが、L値は個体を振動させることで音が伝わる「個体伝播音」である床衝撃音のレベルを表しています。
軽量床衝撃音(LL)とは?
軽量床衝撃音は、硬くて軽い物を落とした際に発生する高い音です。
例・・・ナイフやお箸などの食器を落とす音、床で遊ぶ音(プラレールや積み木など)

重量床衝撃音(LH)とは?
重量床衝撃音は、重くて柔らかい物が落ちた際に発生する低い音です。
例・・・歩行音、椅子を動かす音、机を移動する音

L値の等級目安
等級 | 軽量床衝撃音(LL)の目安 | 重量床衝撃音(LH)の目安 |
3級 ※許容 | LL60 上階の発生音がかなり気になる | LH60 発生音がよく聞こえる |
2級 ※平均 | LL55 上階の発生音が聞こえるが、 一般的に許容されるレベル | LH55 発生音が聞こえる |
1級 ※推奨 | LL45 上階の発生音が多少聞こえるが、 ほとんど気にならないレベル | LH50 発生音が小さく聞こえる |
特級 ※高性能 | LL40 ほとんど聞こえない | LH45 聞こえるが、意識することはあまりない |
日本建築学会では、軽量床衝撃音を防音する理想の遮音等級は「LL45以下」、
重量床衝撃音を防音する理想の遮音等級は「LH50」を推奨しています。
注意点:L値はあくまで防音性能の推定値であり「床の性能」を示す目安となりますので、実際の音の感じ方には個人差があります。
前述を参考に、上階で発生した床衝撃音が下階にどれくらいの大きさで聞こえるか気になる方は「L値」に注目してくださいね。
まとめ
「音の快適さ」は、遮音、吸音、床衝撃音という3つの要素によって成り立っています。
これらを評価する指標が、Dr値、T値、L値です。
そして、音の快適さを保つためには「音のバランス」が必要となってきます。
高いDr値で外部の騒音をシャットアウトするだけでは、室内の音が響きすぎて(T値が不適切)、会話がききとりにくい空間になってしまいます。
逆にL値が低くても床は静かだけど、隣室の話し声が聞こえる(Dr値が低い)ようでは、快適に暮らせません。
Dr値、T値、L値は、それぞれが独立しているのではなく、互いに影響し合いながら私たちが体感する「音の質」を決定しています。
この3つの要素を意識することで、ただ音を消すのではなく、目的に合った理想的な音の環境を作り出すことができます。
音の問題は、我慢せずに解決できる時代です。
これらの指標を理解し、ご自身の生活に最適な「音の環境」を整えることが、きっと日々のストレス軽減に繋がるはずです。
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